2022年10月22日(土) - 2023年01月09日(月)
この度、松尾芭蕉の貴重な自筆自画《野ざらし紀行図巻》が半世紀ぶりに再発見されたことを記念し、福田美術館と嵯峨嵐山文華館が共同で展覧会を開催いたします。本展は、与謝蕪村をキーパーソンとして、蕪村が憧れた松尾芭蕉と、蕪村と同じ年に生まれた伊藤若冲、三人の足跡を辿るものです。
松尾芭蕉は1644年伊賀上野(現在の三重県伊賀市)生まれ。10代後半から俳諧に親しみ、30歳頃に江戸へ赴いたのち深川に隠棲し、自らの作風を模索するようになりました。41歳の時に初めて旅に出てからは、全国を遊歴しては俳句と共に紀行文を記すようになります。中でも東北から北陸を旅した時の紀行文『おくのほそ道』はとくに有名です。
紀行文「奥のほそ道」において、「古池や蛙とびこむ水の音」や「閑さや岩にしみ入る蝉の声」などを詠んだことで知られる松尾芭蕉は、俳句という文芸を和歌とならぶ文学的地位へ高めました。
芭蕉の死後50年が経過した一七四三年頃から、芭蕉を顕彰する動きが盛んになります。この運動を京都で牽引したのが、与謝蕪村です。
<第1会場:嵯峨嵐山文華館>
第1会場は嵯峨嵐山文華館で、芭蕉の俳句と共に、後世の画家たちが描いた俳聖《芭蕉図》の数々を展示致します。芭蕉に憧れてやまなかった蕪村の手による俳画、さらにパトロンや弟子たちとの関係が窺える蕪村直筆の手紙をはじめ、弟子たちの作品もご覧いただきます。
<第2会場:福田美術館>
第2会場の福田美術館では、幻の名品である松尾芭蕉の自筆自画《野ざらし紀行図巻》を特別公開。
今回、福田コレクションに加わったこの図巻は、紀行文全体にわたって書とともに挿絵が描かれた、大変貴重なものです。
与謝蕪村は20代から江戸で俳諧を学んだ後、およそ10年間かけて、各地の歌枕や、芭蕉が訪ねた場所を巡りました。42歳頃から京都に定住し、中国の南宗画に学びながら山水図を描き、俳画という新しいジャンルを確立しました。
一方、蕪村と同じ年に生まれ同じ界隈に住んでいた伊藤若冲は、代表作《動植綵絵》のような極彩色の絵や水墨画などを、85歳で亡くなるまで精力的に制作しました。
芭蕉、蕪村、若冲。誰もが知っている江戸時代中期の偉大な芸術家三人が到達した芸術の境地を、俳諧と絵画を通して心ゆくまでお楽しみください。
展示期間 | 2022年10月22日(土)~2023年1月9日(月) |
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前期 | 2022年10月22日(土)~11月28日(月) |
後期 | 2022年11月30日(水)~2023年1月9日(月) |
休館日 | 11月29日(火)、12月30日(金)~1月1日(日) |
関連資料 | 芭蕉と蕪村と若冲チラシ(PDF) 作品リスト(PDF) |
松尾芭蕉、与謝蕪村、伊藤若冲、中村芳中、呉春、紀楳亭、遠藤曰人、小川破笠、竹内塊翁、藤森素檗、高桑闌更、長谷川雪旦、常世田長翠、竹田太橘、井上士郎、高井几董
与謝蕪村「松尾芭蕉像」(部分)
松尾芭蕉 発句「行春や」(部分)
松尾芭蕉 発句短冊「あら海や」(部分)
文華館008_01078_松尾芭蕉「朝顔に」自画賛(部分)
文華館038_01102_与謝蕪村「ぬけがけの」自画賛(部分)
呉春「十二ヵ月風物図巻」(部分)
与謝蕪村「筏士画賛」(部分)
紀梅亭「乾鮭図」(部分)
文華館023_00141_松尾芭蕉「ふらずとも」自画賛(部分)